SORACOM Conference "Connected." セッションレポート
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事例トラック J3
IoTスタートアップに学ぶ新規事業の立ち上げ方

新しいアイディアは飲み会の場で生まれる。当セッションでは、日本のIoT業界を担う起業家の皆さまにご登壇いただきました。


ソラコム 玉川
本トラックでは、非常に注目を浴びているスタートアップの皆様に来ていただきました。とても贅沢なセッションですね。皆様に代わり、取り組んでいる事業、事業を始めたきっかけや課題などを聞いていきたいと思っています。スポンサーの皆様本当に有難うございます。今回、午後のこの時間になっても非常に多くの皆様に来ていただき有難うございます。クラウドが今new normalになりモノがコネクテッドデバイスになっていくということで、ソラコムは本日4つの新サービスを発表させていただきました。モバイル通信のAir、データ転送支援のBeamに加えて、プライベート接続のCanal、専用線接続のDirect、デバイス認証のEndorse、クラウドリソースアダプターのFunnelと色々出してますが、基本的な考え方は、使いたいサービスを従量課金で使っていただき、必要なくなったらすぐ辞めるということです。元になっているのは、私が携わっていたAWSの考え方です。新しいWebサービスを立ち上げようとするとサーバーなんか買いたくないと思うんですよ。サーバ買うぐらいなら、Webサービス作ってお客さんを獲得したいのが企業家の祈りです。通信を必要とするIoTシステムを作るのに通信にお金を使いたくないと思うんです。我々は変わって通信の泥臭い部分をプラットフォームとして提供したい、それにより日本から大量のIoTプレーヤーが出て欲しいと思っています。今回は、社長がイケメンで、勢いがあり、業界から注目されていて、期待されている起業家の方だけを集めております。(笑) ですので、私自身も非常に楽しみにしております。まず、スマートドライブの北川さんにご登壇いただきます。

今ある車をちょっと未来に近づけてあげる:スマートドライブ

スマートドライブ 北川氏
初めまして、スマートドライブの北川と申します。スマートドライブは、自動車の走行データを収集解析して新しいサービスを作っていくベンチャーです。自動車と聞くと、電気自動車とか自動走行車等の未来の車が注目されているかと思いますが、我々のアプローチは、後付けのIoTデバイスを今すでに走っている車に付け、コネクテッドカーにし、ちょっと未来に近づかせてあげる取り組みです。プロダクトの概要ですが、マッチ箱ぐらいの小さいデバイスを車のハンドルの下についているOBD2と言うポートに差し込み、車の情報を収集解析し、スマートフォン上で自分の運転がどれくらい安全でエコなのかを知ることができます。

また、安全に運転しているとポイントが貯まるため、将来的にはそのポイントを利用してコンビニでジュースが買えたり等お得なサービスを展開していきます。また、車の中の情報を解析しているので、自分の車が今どのような状況なのか、故障しそうなのかを、アプリ上で確認できます。OBD2と言うポートを、おそらくご存知ないかと思いますが、今ほとんどの車のハンドルの下についており、車の中の情報がそこから読み取れます。どんな運転をしているか、スピード・ブレーキ・アイドリングと言う基礎情報から、ワイパーの動きや、車の内気温外気温などのデータも取れます。走行データだけではなくて例えばポルシェに乗っている人はエンジンをかけて、エアコンをガンガンにかける傾向にあるだとか、このエリアに住んでいる方は比較的運転が荒いとかが分かります。ワイパーの動きを分析することで天気予報に使えたりと、走行以外のデータも集まってきています。我々が今メインで取り組んでいるテレマティクス保険というものがあります。安全に運転していることが分かり、事故リスクが低いことがわかることで、保険料を割り引くことをアクサダイレクト保険会社さまと一緒にやらせていただいてます。車がいつ故障になりそうかと言うプレディクティブメンテナンスや、ガソリンが減ってきたら近くのガソリンのリコメンドを出したり、鍵をかけ忘れているとアプリで通知してあげたりという普段の運転のサポートも行っています。未来の車でできることを今の車でもやっていこうということで、個人向けだけでなく法人向けにも同様のサービスを提供しています。

株式会社スマートドライブ 北川氏
株式会社スマートドライブ 代表取締役 北川氏

簡単にですが、我々の思いは、電気自動車や自動走行車、コネクテッドカーというソリューションで、今後10年で車の社会が大きく変わっていくところを前倒しにして、スマートにドライブしたいなと思っております。今、集まってきた情報をその人の運転診断や保険・整備といったところに使ってますが、ゆくゆくは車と車の通信、M2Mや、車車間や路車間など、車と車が通信することで影の方から出てくる車を事前に察知して事故が起きないようにしたり、ものを運ぶ時にどのルートで運ぶと一番良いかといった、よりインテリジェントなロジスティックス等を今後手がけていきたいです。そうなると、単純にクラウドにデータをあげて解析だけではなく、車と車の通信と言う、次世代の通信をソラコムさんのソリューションと一緒に作っていければいいなと思っております。

ソラコム 玉川
ありがとうございます。非常に面白いですね。こんなOBD2からワイパーの情報も取れるんですね。

スマートドライブ 北川氏
はい、車種にもよりますが、かなり多くのデータが取れます。

ソラコム 玉川
これは取れなさそうだけど取れるという情報はありますか?

スマートドライブ 北川氏
例えば、追突防止用センサーの値が取れたりするので、この人の運転は車間詰めすぎだよということがわかります。

ソラコム 玉川
そうなんですか、面白いですね。ところで、北川さんって今おいくつですか?

スマートドライブ 北川氏
今26です。

ソラコム 玉川
若いですよね。もともとコネクテッドカーを始めたきっかけはなんでしたか?

スマートドライブ 北川氏
もともとデータの分析をやっていて、車のバックグラウンドはなかったんですが、やっぱりこういう未来が来るんだなと実感する機会があって、こんな未来を早く持ってきたいなと思ったことがありました。OBD2から診断するデバイスはすでにあっのですが、日常の人が使うサービスにまで落ちていませんでした。いろんなモジュールを買ってきて組み合わせるだけじゃカッコイイものは作れなかったので、一気通貫でそういうサービスができたらと思い創業しました。

ソラコム 玉川
北川さんがもともと統計をやられてたと伺いましたが、このビジネスではハードウェアやクラウドが関わると思いますが、誰か連れてきたのですか?

スマートドライブ 北川氏
そこは、自分でやることは半分諦め、できる人にきてもらいました。

ソラコム 玉川
僕らはアラフォーのメンバーが多いのですが、日本で、まだ若くてお金や人を集めるのは苦労があったかと思います。どういう風に乗り越えられたんですか。

スマートドライブ 北川氏
私自身あまり経験もないですし、あまり背伸びしてなんだかんだ言うより、やりたいビジョンを大きく語らせていただき、そこに賛同していただいています。

ソラコム 玉川
最後になりますが、会場の皆様にメッセージありますでしょうか。

スマートドライブ 北川氏
スマートドライブが作っているOBD2っていうポート以外からデータを取るようなデバイスも作っています。車は生活に密着しており、車を持っていない企業さんの方が少ないくらいなので、車の活用をご検討されている方がいらっしゃれば是非お話しさせていただきたいです。

ソラコム 玉川
どこの業界の方にお会いしたいとかありますか?

スマートドライブ 北川氏
車なので、物流の会社だったり保険関係の会社だったり、営業車たくさんお持ちの方がいらっしゃれば是非お話しさせていただきたいです。

ソラコム 玉川
是非SORACOMと一緒に売っていきましょう。ありがとうございました。

ソラコム 玉川
続いて、フォトシンスの河瀬さんにご登壇いただきます。うちもオフィスに3個「Akerun」を導入しております。

Webから鍵を開けるスマートロック「Akerun」:フォトシンス

フォトシンス 河瀬氏
皆さんこんにちは、スマートロックロボット「Akerun」というものを作っている河瀬と申します。一昨年の9月に創業し、いわゆるスマートロックを開発しているスタートアップになります。創業メンバーは6名で、物作り、Bluetooth、セキュリティに非常に詳しいメンバーを含む現在正社員17名の会社になりました。ありがたいことにIoTの文脈や、民泊の文脈のタイミングに乗れたなと思っています。その観点で、様々な賞を受賞させていただきました。私たちが解決したいという課題や企業のきっかけは、もともと鍵って不便だよなという経緯から始まりました。例えば、鍵をなくしたり、鍵交換費用にお金がかかったり、ポストや鉢の下に隠したら合鍵で不法侵入が起こったり、鍵が物理的な存在であるのはおかしいという素朴な疑問が飲み会中に出てきました。スマートロックという言葉も知らない時に、自分たちの家のサムターンと言われるところにモーターをさしてガムテープをぐるぐる巻きにして遊んでみようということになり、その後、意外とここにはいろんな課題があると感じ起業しました。

去年の4月から発売をしている「Akerun」というプロダクトがどんなものかご紹介させていただきます。仕組みは非常に簡単で、今皆さんにご覧いただいている側が扉の内側ですね。これを回すと鍵がしまり、鍵が開くという状態です。「Akerun」は非常に簡単で、この扉の内側に後付けでペタッと貼り付けるだけで、いつも持ち歩いているスマートフォンが鍵になります。すぐにコネクトするので、このようにサムターンが回るので鍵を外側から開けることができます。非常に簡単なデバイスです。

株式会社フォトシンス 河瀬氏
株式会社フォトシンス 代表取締役 河瀬氏

自分が許可した人に対して一時的に鍵を発行できたり、履歴を参照することができるということがスマートフォンやウェブで開けることができる価値だと思います。実は、「Akerun」単体を販売するケースは減り、法人向けや不動産の内覧の場合などに「Akerun」リモートとセット売りするケースが増えてきました。これは、「Akerun」と「Akerun」リモートがBluetoothでコネクトし、「Akerun」リモートにSORACOMさんのSIMが入っているため、「Akerun」が常にネットに繋がっている状態を作り出します。なぜこのようなものを作ったかというと、スマートフォンで扉を開けるのは結構めんどくさいんです。例えば海外の方がAirbnbで泊まりに来た時に、わざわざアプリをダウンロードして初期登録したり、Bluetoothが利用できない多くのガラケーユーザーの方が存在しています。今スマートフォンの普及率は62.6パーセントと言われており、「Akerun」リモートがあれば遠隔でPCやガラケー、タブレットから開けることができます。更に遠隔で状態を確認することができるため、法人向けなどではこちらをご利用いただくケースが圧倒的に多いです。ソラコムさんのSIMは非常に回線も安定しており、管理画面で簡単に状況が確認できます。また、コストの点では、契約し通信を開始にすることもあるのでコスト削減ができています。また、以前は1ヶ月2ヶ月前にフオーキャストを出しSIM何百枚くださいという請求書ベースのやりとりをしてましたが、ソラコムさんのSIMは欲しい時にすぐ手に入り非常に便利になったと思います。

あと、「Akerun」タッチや「Akerun」エントランスがあります。マンションのエントランスは鍵が閉まっていますがそこも「Akerun」のインテリジェンスを利用し鍵を開けることを現在、三井不動産で行っています。1年間で6つのプロダクトを出しています。電気錠の市場、見守りの市場、ホテルの市場、防犯の市場、不動産の仲介市場、デッドスペース等にご利用いただけるかと思っています。非常にシンプルな機構ですが、ソフトを充実させることで多くの世の中の課題を解決できると思っております。ご清聴ありがとうございました。

ソラコム 玉川
やっぱ飲み会ですよね。ソラコムを始めたのも飲み会がきっかけでした。「Akerun」さんって開発速度速いと思うんですけど、アイディアって飲み会で出るんですか?

フォトシンス 河瀬氏
昔はそうだったんですが、今はどれだけお客様の声を吸い上げられるかにかかってますね。スマートフォンで利用ができるだけで最高だと思ってたんですが、その後、常にウェブに繋がっておくことが重要だとわかり、また鍵を開けるためにアプリを立ち上げるのがめんどくさいよねという声をいただいて次の製品を開発したり、、とお客様の声からアイディアをいただいているという感じです。

ソラコム 玉川
「Akerun」さんすごいなと思うのは、ハードウェアもやっているけど、ソフトウェアもアプリもかなり高いレベルでやっていると思います。チーム作りの秘訣とかあるんですか?

フォトシンス 河瀬氏
実は、自分の友人や知り合いで3分の1を集めています。その人たちがもともとエンジニアのスキルを持っている人たちでした。また、リリース直前で止めるという挫ける場面でもついてきてくれるという人間関係ができているかなと思ってます。

ソラコム 玉川
結構クラウドとかソフトウェアをやっていた人がIoTやろうとすると、ハードウェアが結構難しいことがあります。プロトタイプが作れても、製品を作るのが難しいと聞きますが、フォトシンスさんではあまり問題になりませんでしたか。

フォトシンス 河瀬氏
すごく問題になりました。最終的には大手電機メーカーを退職されたサポーターの方が5名ぐらいにご協力いただき、毎週アドバイスをいただきました。

ソラコム 玉川
会場のみなさんにメッセージはありますか。

フォトシンス 河瀬氏
ソフトの開発もハードの開発もできますので、色んな組み合わせができると思ってます。いろんなアイディアがあれば、すぐにプロダクトに落とし込む力があると思っているので、ご意見ご要望をいただけたら嬉しいなと思ってます。ありがとうございました。

ソラコム 玉川
IoTのいいところは物見せられるところですよね。私もともとクラウド業界にいたので羨ましかったんですよね。では、次はKAMARQの町野さん宜しくお願いします。

モノに異質な掛け算を、家具をインターネットを繋げる:KAMARQ

KAMARQ 町野氏
町野です。宜しくお願いします。KAMARQの紹介をさせていただきます。まず、KAMARQは、家具の会社です。ただの家具の会社立ち上げてもしょうがない・意味ないと思います。我々は、家具にプラスアルファの発想でプロダクトの開発をしています。それがどう、ソラコムさんのサービスに繋がるかを話したいと思います。

前段の話になりますが、やっぱりITだけのサービスは世界を取れないと思ってます。世界に通用するブランドにするには、モノづくりに異質な掛け算をしている会社だと思ってます。その例はGoProだと思います。GoProは10年で1兆円の会社になりましたが、GoProのようにモノづくりに違うものを組み合わせて会社を作っていきたいなと思い、創業しました。

私は、3年前anntenaを立ち上げ、現在に至るという形です。共同創業者の和田はモノづくりのプロで、数多くの会社に対して、これまで家具を累積300万台納品してきました。実は家具の工場をインドネシアに持っていて、家具の工場を作れるところが我々のキーになってきます。家具のデザインは、みなさんご存知かと思いますが、amadanaの鄭が参加しています。なぜ家具かと言いますと、家具は世界中にあるためローカライズがしやすいと思いました。KAMARQと言う名前はインドネシア語の「私の部屋」からとってます。家具の世界市場は33兆円で非常に大きいです。家具をIoT化していきますが、ベースとなる家具ですが、まずこれが売れないと意味がないのですが、家具自体遅れています。家具には主に3つの不満があります、値段・色・サイズです。いいものは高いし、色もサイズも選べない。これを解決した家具を売ろうと思っています。最初は4つの自由を提供した家具を作りました。デザインをオープンにし、色々なデザイナーにデザインしてもらい、販売する物は必ず色が選べる、そして家具にサイズという考え方を取り入れました。値段はIKEA価格プラス、いいデザインで色も選べて、IKEA価格という家具を販売していくモデルになっています。

KAMARQ HOLDINGS PTE .LTD. 町野氏
KAMARQ HOLDINGS PTE .LTD. 代表取締役COO 町野氏

そして、IoTになりますが、我々の家具に音楽を組み合わせ、世界初、音が出るテーブルを作っています。家具にスピーカーを組み合わせることで、家具の天板自体から音が出ます。そしてその操作をアプリでやります。その家具にソラコムさんのSIMが入る予定で、家具がオンラインになるという世界観を作っていきます。音が出るベッドだったり、チェストだったりを考えてます。さらに、第2弾プロジェクトは、家具だけで安心がテーマで見守りドアを販売していきます。ドアに温度湿度人感センサーを入れ、そのデータを同じアプリで見ることになります。ここもSIMが入っておりドアが常時オンラインになっています。データをアプリに直接取るのではなく、KAMARQクラウドに常時蓄積します。スクリーンに写しているのはオフィスに入れたデータで、温度湿度材質の有無や扉の開閉データをリアルタイムでとっている事例です。これを元に、家具と健康、体重を測れる洗面台とかを開発し、それを全てKAMARQのアプリで見ることができることで、実は自宅にあるもののデータを集められる会社としてインフラを作っていくことが裏の狙いだったりします。最終的にそれが繋がることによって、例えば両親の結婚記念日にドアを開けたら開閉データを取りそれをトリガーに音楽が流れ出すと言う未来を目指したいです。それを繋げることにより、サードパーティさんのデータも同じアプリで見れることによってスマートホームのインフラを作っていくのが我々のサービスの最終形になります。

ソラコム 玉川
ありがとうございます。町野さんの話聞くと、創業チームが豪華な構成になっている気がします。家具も作れるし、ITやってきているし、デザイナーもいるし、どうやって出会われたんですか?

KAMARQ 町野氏
これも、飲みの席ですね。全ての事業は飲み部屋で生まれるということで。たまたま夢を語り合った時に、一緒にやろうとなりました。私はanntena一回立ち上げて、鄭も一回Amadanaで成功し、和田も家具の世界で成功して、ただもっと大きいところでやりたいよね、世界を取りたいよねというところから始まりました。もう一度おっさんだけで頑張ろうという形です。

ソラコム 玉川
アイディアが先にあって、チームを作ったんですか?チームがあってアイディアを作ったんですか?

KAMARQ 町野氏
半々ですね。小さいアイディアは色々あったんですがそれを足し算して色々アイディアを載せ、この6ヶ月ぐらいの間に急激に形になってきたという感じです。

ソラコム 玉川
この6ヶ月間で一番のチャレンジはなんですか?

KAMARQ 町野氏
やっぱりIoTのビジネスって難しいです。グロースするかとか利益出るかを100パーセント答えられるかどうかはワールドワイドに見ても少ないと思ってます。その中でもスマートホームもずっと前から話題になっているが、でも実際ベンチャーで成功している会社は少なくて、確実に成功できるモデルに整理するっていうことが実は結構タフで難しかったと思います。

ソラコム 玉川
次の製品はいつ出ますか?

KAMARQ 町野氏
今年の春夏に出ます。第一弾はサウンドテーブルです。ありがとうございました。

ソラコム 玉川
最後に会場へのメッセージをお願いします。

KAMARQ 町野氏
例えば、家電メーカーさんでうちのアプリと連携をしたいだったり、家具の販売や、スマートホームがらみの話があればお話できればと思います。

ソラコム 玉川
続いてチカクの梶原さんお願いします。

おじいちゃん、おばあちゃんに孫専用のチャンネルを届ける:チカク

チカク 梶原氏
みなさんこんにちは、株式会社チカクの梶原と申します。よろしくお願いします。我々の会社は製品を発表してから3,4ヶ月ぐらいで、スライドもあまり文字がないので、しゃべりだけ聞いてもらえればと思います。大上段の話じゃないんですが、会社を立ち上げた想いとしては、大切な人と距離も時間も超えて繋がれる世界をもっと作っていきたいなと思ったからです。今はすごくいい時代で、特にスマホができてから、離れている友達ともソーシャルメディアで写真・動画を通じて普段何しているかを簡単にわかるようになってきてます。私、実家が兵庫県淡路島ですが、大学で上京するまで祖父母も一緒に暮らしていました。スマホが出てきてから、子供が2人いるんですが、写真の数は10倍になったそうです。しかし、実家の親に対して、子供の写真・動画は全然見せられてないと。何でかというと、当たり前ですが、彼らスマートフォン持ってない、もしくは使いこなせていません。今スマホを使うシニアの人が増えていると言いますが、まだまだ全然です。うちの親もそうでした。僕らはスマートフォンを、手足のように使ってますが、彼ら彼女にとってのスマートフォンって何なんだろうと思った時に、テレビだろうと思いました。我々はスマホ、彼ら彼女らにとってはテレビを使って孫の近況が簡単に楽しんでもらえるようなサービスがあったらいいなというところで、「まごチャンネル」と言うサービスです。

株式会社チカク 梶原氏
株式会社チカク 共同創業者兼代表取締役 梶原氏

これは、ベタですが家の形をした受信ボックスを経由して、スマホから手間なく実家のテレビに子どもの写真や動画を共有することができます。簡単な特徴の1つ目は、セットアップが非常に簡単です。受信ボックスに電源のケーブルとテレビのケーブルを使うだけで利用することができます。これだけで、おじいちゃんおばあちゃんが普通にテレビを見るように見れます。2つ目は、テレビリモコンでそのまま操作が可能です。8チャン見ようかな、5チャン見ようかな、ちょっと孫みようかなと言う感じで、サービス名が「まごチャンネル」となってます。孫専用のチャンネルがテレビに追加される体験ができます。おじいちゃんおばあちゃんにとっても分かりやすいコンセプトにしてます。3番目としてソラコムさんにお世話になっているところですが通信回線を内蔵してます。これまで我々は、おじいちゃんおばあちゃん家に何十世帯もお邪魔し、更にデータを色々見たのですが、おじいちゃんおばあちゃんのお宅はやっぱりインターネットの環境が整ってません。有線があっても、無線がない。有線がないところもあります。そのためインターネットのイの字も意識させないようにしたいと思いました。ソラコムさんのSIMを内蔵していて、電源をつなげば自動的に通信が始まります。テレビに孫が映ると言う体験をすることができます。最後にですね、機能的な部分でできることも大事ですが、我々は会社名を「チカク」とし、お互いを「近く」したいと言う思いと、お互いを「知覚」したいさせたいと言う思いを込めてます。実は新しい写真をあげると端末の窓に明かりが灯ります。そして家に子供たちが帰ってきた生活をテレビで見ることができます。まごチャンネルを見てもらうと、今度は見始めたよ〜と言う情報がアプリ側に通知で届きます。見守りにもなります。互いの存在を自然な形で感じることができます。2015年9月にMakuakeさんのクラウドファンディングのIoTカテゴリーでは、最速の開始50分で目標金額に達成することができました。その後、おかげさまで色んなメディアさんに取材頂き、日経の正月特集号の第2部の一面にも載せていただきました。出荷が3,4月を予定しています。そこに向けて準備しています。こんな形でおじいちゃんおばあちゃんの笑顔を増やしていきたいなと言う思いで今サービスを立ち上げようとしています。ありがとうございます。

ソラコム 玉川
梶原さんは、最初にまごチャンネルの家の形とピカピカ光る形はすでにイメージがあったんですか?

チカク 梶原氏
おじいちゃんおばあちゃんが見るものってやっぱりテレビだよねってことはわかっていたので、テレビを使って何かやりたいなと思ってました。あの家の形とかになったのは、プロダクトデザイナーさんと70回ぐらいデザインを修正してできました。最初はセットボックスに八木アンテナみたいなものがついたハゲちゃびんみたいな感じの物で、「これ面白いねー!」みたいな感じだったんですが、ターゲットカスタマーのママさんに見せたら、「ここホコリが溜まりそう」って言われて、その発想はチーム内には全くなくて、「なるほどな!」と思い何度もお客様にぶつけて、今の形になりました。

ソラコム 玉川
梶原さんとお会いしてから、たまたま昔から知っていたエンジニアが何人かチカクさんに入ったんですが、良いエンジニアを取ってくる秘訣ってありますか?

チカク 梶原氏
そうですね、ある人からアドバイス頂いたのをすごく大事にしています。最初は、仲間集めにとても苦労しました。最初からプロダクトの話ばかりしてたんです。それだけじゃなくて、こういう世界観、どういう世界を作りたいのと言う人ところに共感できる人を集めた方が良いし、これをちゃんと伝えなさいということを教えていたただき、それ以降、「これ一緒にやりたいね」という流れで良いエンジニアの方が参画してくれる様になりました。

ソラコム 玉川
ありがとうございます。会場に対して、メッセージはありますか。

チカク 梶原氏
我々まだまだこれからのサービスでもあり会社でもありますので、これからどんどん知っていただきたいと思っています。ある意味顧客層が重なる部類の会社さんの場合は是非何かご一緒できることもあるかなと思いますので、気軽にお声掛けいただければと思います。

ソラコム 玉川
あっという間に最後の登壇者です。Z-Worksの小川さんにご登壇いただきたいと思います。よろしくお願いします。

生活の中で感じる不安をIoTで安心に変える:Z-Works

Z-Works 小川氏
Z-Worksの小川と申します。スマートホームは、ワールドワイド的に使われているケースは結構限られています。ワールドワイドのスマートホームは、基本的にホームセキュリティになります。家にあるセンサーが反応し、IPカメラが反応し、キャプチャして、手元のスマートフォンに来ます。アメリカやヨーロッパは、不審者が銃を持っていると可能性があるため自衛手段としてのホームセキュリティが考えられています。スイスコムも加入者の引き止め要因のため、ホームセキュリティに乗り出しています。このようなスマートホームの切り口は、チャイナテレコムもそうですが、ホームガードという形でスマートホーム=ホームセキュリティという形になっています。ベライゾンは唯一家電コントロールを入れ、月々10ドルで加入者の引き止めを行っています。一方日本は、スマートホームの実現が難しいです。30年ぐらい前から、家電コントロールを含めて、ホームバス、エコネット等、色んなことやってるんですが1回も浸透したことがない国です。次は、浸透するかもしれないですが、私のようなベンチャーでは中々怖くてできません。なぜかというと、やはり、ホームセキュリティベースで言ってしまうと、日本人は皆安全は無料だと思っているんですね。そのためホームセキュリティはタダで貰ってもいらないとのことで、キラーサービスではないと思っています。

株式会社Z-Works 小川氏
株式会社Z-Works 代表取締役社長 小川氏

私は、生活の中で不安に感じること、これを安心に変えるホームセーフティとし、ちょっと毛色を変えてやります。どのようなことかというと、家に備えたセンサーを、人の目人の耳の代わりにし、自分がいなくても何かしら分かると、普段の生活の中で感じる不安を解消します。例えば、夕方人が帰ってきた時に、自分の娘・息子が帰ってきたなと通知されるとか、年間20件以上、ひどい時は死に至る場合もある、ベランダからのお子さんが転落する危険がある時に、奥様の携帯に連絡がいくとか、そのようなことを考えています。これは私の自分の話ですが、やはりIPカメラは、野外にはあるんですが、ちょっとリビングに入れるのはね、私の家内もかなり嫌がります。何度も実験したんですが、HEMSは、消費電力が見えていても加入者の方は、3日目にもう見なくなります。センサーのデータの羅列はみんな飽きてしまいます。更に、家電コントロール。「あれは良いな」という気持ち分かりますが、実際エアコンを外からつけないんです。iモード時代から実証実験を試したんですがやはり無いんですよ。なので、次できるかということが確信できないんです。私がやっているZ-Worksとしての取り組み、センサーのまず見えない化。誰の目にも触れない、隠すということを考えています。これは、人が近づくと照明がつく足元灯ですが、実はこの中IoTになっていて、このまま人が通ったデータが飛んできます。また、3メートル以内にいる方の心拍数がわかり、これで心拍と呼吸数と体の動きを非接触で感じることをやっております。こういうセンサーのデータをクラウドで処理して手元にくると。ホームセキュリティとしてシナリオを設定して、手元のスマートフォンにお知らせがくる仕組みにしております。センサーから上がってくるデータを、SORACOM使って、先ほどもおっしゃってましたけど田舎のおじいちゃんおばあちゃんちはネット環境が無いので、LTEの通信モジュール入りのゲートウェイでクラウドに送っています。私がやりたいのは、スマートホームより、頑張らない介護。センサーを人の目と人の耳の代わりにして、人が介在しなくてもじいちゃんばあちゃんが家で安全だなとわかるような仕組みを作ってます。現在作成中ですが、こちらのプロダクトを施設のスタッフさんが持ち、トイレにいくためにベットから動く離床タイミングを検知してスタッフさんの持っているスマートフォンがブルブル震えて通知されます。何号室の何番目の方が離床したよと言うタイミングや、トイレの長時間を検査するものです。また、ケアマネージャーさん用のスマートフォンのアプリを開発しています。ありがとうございます。

ソラコム 玉川
ありがとうございます。小川さんと話していていつも思うんですが、やたら無線に詳しいじゃないですか。あれは、バックグラウンドがそうなんですか?

Z-Works 小川氏
私、IoTと言う名前が付く前から2009年からZ-Waveの920メガの無線チップの中の人でいまして、ずっと950メガの周波数再編を乗り越えて活動していますので、無線は非常に詳しいです。

ソラコム 玉川
今後の無線はどうですか?近距離無線とモバイル通信と両方あるかと思いますが、その辺の動向ってどう思われますか?

Z-Works 小川氏
IoTの中で、Bluetoothは結構きついと思っています。本命はwifiの併合。やはり900メガ帯は非常に有利です。海外で2.4ギガで使われない一つの理由は、300年、400年経っている石造りの家が多いんです。その中で、wifiは届かないので、サブ1ギガ・900メガ帯が伸びてきてます。ただ、全ての国でレギュレーションが違うので、微妙に周波数が違います。それが併合の場合は、今のスペックであれば解決の方法に向かうと思うので、ワールドワイドで一気に伸びる可能性を秘めていると思います。

ソラコム 玉川
技術的に詳しいだけでなく、頑張らない介護と言うすごくウェットな方法も、小川さんいつも大切に話されますが、それはきっかけがあるんですか?

Z-Works 小川氏
プロダクトデザインに関しては、モノを知ってないとと言うことだと思います。私自身は15年間で4人の家族看取ってきた中で、頑張る介護は2年で潰えてしまします。そういう気持ちを抱かして生きていくのは地獄なのでIoTを使って、人じゃないものを酷使するしかそれを埋めることができないと思っています。そのため、ここをIoTで頑張らないと何をするんだって、これこそスマートホームだろうと。

ソラコム 玉川
日本なんか特にそうですね。人口の形が上に上に上がっていくので。

Z-Works 小川氏
日本のみならず先進国25カ国のうち19カ国が人口が減っていき、今79億人と言われてますが、100億人いくかどうかは分からないですね。全地球規模で少子高齢化になっていく中で、このような取り込みは、少子高齢化のフロントランナーである日本が、ここで培った技術をグローバル展開していきたいと本当に思っています。

ソラコム 玉川
最後は会場のみなさんにメッセージをお願いします。

Z-Works 小川氏
ちょっと暗い話になりましたが、介護で人の労力を緩和し、寝っころがりながらゲームしてても良いっていうくらい、人の余暇を作り出したいなと思っています。こういう取り組みに共感できる方、ぜひ、声をかけてください。ありがとうございます。

ソラコム 玉川
今回のセッションは、ちょっと変わった形式で、起業家の方を招いて色々質問してみるセッションでしたが、いかがでしたでしょうか。改めまして、ご登壇いただいた5人の起業家のみなさまに盛大な拍手をお願いいたします。

我々は、「世界中のヒトとモノをつなげ共鳴する社会へ」と言うことでIoTのエリアで一緒にやっていきたいと思っているですけども、最近感じるのは、我々通信やっているんですが、クラウドだったりモノだったりソリューション作られているお客様と、新しいみなさまと出会っていくなーと思っています。元々ソラコム始める前まで、今回来ていただいた5人の起業家のみなさまを知らなかったですが、みんなでIoTの市場を盛り上げていって、世の中をよりよくしていきたいと思っております。みなさま是非ご支援のほどよろしくお願いいたします。本日はありがとうございます。


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