SORACOM 導入事例:株式会社相愛

週2回の木質ペレット残量確認を完全自動化
高知の地場企業が自作IoTで挑む業務効率化
株式会社相愛

IoT 導入の背景 高知県内約70箇所の加温ヒーター見回りを効率化したい

株式会社相愛は、高知県の企業です。地質調査、自然環境調査、地域コンサルティングなどの事業を通して、持続可能な循環型社会の構築を目指しています。

2006年には、新規事業として森エネルギー事業部(現:木質バイオマス事業課)を立ち上げました。高知県ではナスやピーマンなどの施設園芸が盛んです。ビニールハウスでは、冬場の温度を維持するため加温ヒーターを用います。重油を使った製品が多い中、相愛では高知県の豊かな自然を活かし、地域内の森林からその成長量の範囲内で活用可能な木質資源を加工してできる「木質ペレット」を燃料に使った加温ヒーターを開発しました。木質ペレットは、間伐材、木屑、おが屑などを原料に円柱状に圧縮加工したもので、再生可能な循環型エネルギーのひとつであるバイオマス燃料として注目されています。

相愛では、施設園芸農家様に導入した全国200基超の加温ヒーターのうち約70基に対し、設備のメンテナンスから燃料となる木質ペレットの配給まで行っています。加温ヒーターの利用は、10月から始まり冬場最も利用されます。木質ペレットは、加温ヒーター設備に隣接された燃料タンクに貯蔵されます。

これまで、燃料配給担当職員は平均週2回、各施設園芸農家様の現場を車で見回りに行き、タンク内の木質ペレット残量を目視確認し、木質ペレットの配給計画をたてていました。見回りは大変な仕事であると同時に、決して燃料を切らしてはいけないというプレッシャーのかかる仕事でもあります。この見回り業務をIoTで改善するプロジェクトが社内で始まりました。

 

IoT 導入の課題 初めてのIoTプロジェクトに取り組むハードル

「IoTはもちろん、デバイス開発もクラウドも初めての経験でした。見回りを自動化するアイディアは2018年秋頃からありましたが、最初の半年は情報収集しているうちに過ぎてしまいました。」と、プロジェクトリーダーとなった須佐美氏は言います。2019年4月、本格的にプロジェクトが始まりましたが、なかなかシステム全体構成を決められない状況でした。そのような状況を打破したのが、高知市で行われたSORACOMを使ったワークショップでした。ワークショップは、センサーとマイコンを使ってセンサーシステムを作り、取得したデータをグラフ化するという内容でした。ワークショップを体験し、自分でもできるという実感を得たと須佐美氏は振り返ります。

「講師のソラコム松下さんが、『作らない、利用する』と言っていたのが心に残っています。私たちは見回りを自動化したいだけで、それ以上の過剰品質はいりません。いちから作るのではなく、既存のデバイスやサービスを徹底的に利用することを念頭に考えるようになりました。この体験をキッカケに、プロトタイピングが加速していきました。」

 

SORACOM が選ばれた理由 省電力通信のSigfoxとLTE-Mを用いてSORACOMで可視化

施設園芸の現場は、ネットワークや電源がないこともあります。そこで、このシステムの目標値として、電池駆動であること、少なくとも1シーズン以上(半年以上)稼働すること、通信手段を新たに用意すること、全加温ヒーターに設置すること、安価であることを定め、開発に取り組みました。

これらの要件に合う通信として省電力通信のSigfoxを採用しました。小型マイコンデバイスのArduino Pro、SORACOM IoTストアで販売しているSigfox Shield for Arduino、そしてレーザー距離センサーを組み合わせたデバイスを開発しました。

森林も多い高知県では、Sigfoxでは電波強度が足りないエリアもあることから、セルラー基地局を利用した省電力通信LTE-Mも併せて採用しました。同じくIoTストアで販売しているマイコンボードWio LTE M1/NB1(BG96)を利用して開発しました。

Sigfox、LTE-Mともに省電力ではあるものの、待機電力による電池消耗が大きいという課題が発生しました。そこで、省電力を実現するモジュールWio Extension – RTCを取り付けることで、待機電力を数百分の1に削減し目標値を優に達成しました。

業務で社員が利用するダッシュボードやアラート通知のシステムも、データ収集・蓄積サービスSORACOM Harvestと、ダッシュボード作成・共有サービスSORACOM Lagoonを利用しています。クラウドの知識がなくても、ブラウザ上からの操作でダッシュボードを作ることができました。

 

システム構成図

株式会社相愛

導入の効果 見回り業務の完全自動化を達成、さらにメンテナンス対応が進化

開発したIoTシステムでは、主に2つの現場データを取得しています。ひとつは、燃料となる木質ペレットのタンク内残量データです。レーザー距離センサーをタンク蓋部に取り付け、蓋部から木質ペレット表面までの距離を測ることで残量を把握します。もうひとつは、加温ヒーターの稼働データです。加温ヒーター制御盤から設備異常信号を取得し、残量データとともにSORACOMに送信します。これにより、木質ペレットの残量と、加温ヒーターの異常をリモート検知しています。

2019年9月にお客様先でのトライアルを開始、お客様のフィードバックを得ながらさらに展開し、現在は相愛が燃料配給サービスを行う高知県内約70基の加温ヒーターにこのIoTシステムを導入しています。車で通っていた週に2回の見回り業務は、完全自動化され0回になり、社員は木質ペレット配給業務に集中することができるようになりました。

実際に始めると、さらなる効果が見えてきました。全お客様の燃料残量をリアルタイムで把握できることで、配給の優先順位を明確に決められるようになりました。また、従来は多めに木質ペレットを積んでいましたが、今は必要な量だけを積み配給できるようになりました。さらに、従来は木質ペレット燃料を切らしてはいけないというプレッシャーから週末や年末年始にゆっくり休むことが難しい状況でしたが、今はこのストレスから解放されました。これらに加え、加温ヒーターの異常検知ができるようになったことで、今まで受け身だったメンテナンス対応も変わり、異常時に顧客側からクレームというかたちで確認し対応していたものが、異常アラートを直接担当職員が確認し、相愛側からお客様にお知らせと状況確認ができるようになりました。

今後の展開について IoTで変わっていく

IoT木質ペレット残量検知システムは社内でも紹介されました。社長からも「IoTを他業務にも展開しよう」というメッセージがあり、IoTを用いた社内業務改善が始まっています。相愛が持つ地質調査の現場、自然環境調査の現場、製材などのものづくり工場の現場など、応用できそうな現場とアイディアがあります。

「実際に作ってやってみたことでIoTの概略が見えてきました。『IoTは現場を知り、現場を動かす技術』とソラコム松下さんがおっしゃっていましたが、実際に取り組んでみてその言葉の通りだと感じました。デバイス、通信、アプリケーションが網羅されているSORACOMを利用したことで、現場のニーズに合った現場を動かすためのIoTシステムを、IoT未経験でもつくることができました。」(須佐美氏)

株式会社 相愛
事業部 測量・地理空間情報課 主任
須佐美 俊和氏

https://www.soai-net.co.jp/

利用したサービス

低消費電力データ通信 SORACOM Air for Sigfox
低消費電力データ通信 SORACOM Air for セルラー LTE-M
データ収集・蓄積サービス SORACOM Harvest
ダッシュボード作成・共有サービス SORACOM Lagoon

リファレンスデバイス

Sigfox Shield for Arduino (UnaShield V2S)
Wio LTE M1/NB1 (BG96)
Wio Extension – RTC

 

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