SORACOM 導入事例:i Smart Technologies 株式会社

昭和の工場をスマートファクトリー化
LTE-M ボタンを用いて工場のラインの停止理由を分析
i Smart Technologies 株式会社

IoT 導入の背景 現場のすぐそばで、製造業における IoT 活用に挑戦

i Smart Technologies は、自動車部品を製造する旭鉄工のグループ会社です。旭鉄工は昭和初期に創業され、現在従業員450名程の会社です。2014年から工場ラインの IoT 化に取り組んだ結果、80ラインの平均で34%、最大で128%の向上を実現。お客様からの発注が増えた際も、1億円以上かかるようなラインの増設や、従業員の残業を増やすことなく対応することに成功しました。そのノウハウを更に高めながら、ほかの製造業でも使っていただこうと考え立ち上げた会社が i Smart Technologies です。i Smart Technologiesは「日本一現場に近い IoT スタートアップ」です。オフィスは旭鉄工の敷地内にあり、IoT に必要な最先端の技術、実証可能な現場、そして知見に裏打ちされた改善力の3つを融合し、製造業の IoT 活用に取り組んでいます。

IoT 導入の課題 ラインの停止理由を少ない作業で把握したい

スマートファクトリーという言葉を聞くと、FA(Factory Automation)や、VR(Virtual Reality)、デジタルツイン、AI 活用などの言葉を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、これらのワードの技術が効果的に適用できるのは「これから新しく作る工場」だと思います。すでにある工場をスマートファクトリー化していく場合、もっと現場寄りのアプローチが必要です。例えば、信号灯(シグナルタワー)に光センサーを取り付ける、反復動作があるような設備には磁気センサーを取り付ける、このように動作を取得するセンサーを取り付けることで、どんな古い設備でも IoT 化することができます。

工場のライン業務の改善において普遍量が3つあると考えています。「生産個数」「停止時間」「サイクルタイム(1個の製品を作る為に必要な時間)」です。現在は120のラインでこれらのデータを取得・分析し、従業員がモニタで見えるようにしています。

このように進めていく中で、「停止理由を知りたい」というニーズを現場からもらいました。以前は、紙とペンを用いて記録していましたが、デジタル化しなければ分析できません。そこで、タブレットで記録することを提案しましたが、現場からは良い返事は得られませんでした。そこで私も現場に行って見たところ、現場では機械油のついた分厚い手袋をして作業をしていました。確かにこれではタブレットでの作業記録は難しいと感じ、次にボタン型デバイスで、ポチッと押すだけで記録できる方法を思いつきました。当時は Wi-Fi 接続可能なボタンデバイスで取り組みを開始しました。始めてみると、作業者にとっては記録するための追加作業や負担は減りましたが、電池交換できなかったり、Wi-Fi 設定のトラブル対応、停止理由の変更の度に現地作業が発生し、システム管理者としての負担がありました。

そんな時「SORACOM LTE-M Button powered by AWS」の発売のニュースを聞きました。

SORACOM が選ばれた理由 電池で稼働する LTE-M 通信内蔵でシステム管理の手間が軽減

「SORACOM LTE-M Button powered by AWS」は、電池で数ヶ月稼働可能な新たな通信規格 LTE-M の eSIM があらかじめ搭載されています。Wi-Fi と違い通信の信頼性が高いことに加え、現場の担当者でも簡単に電池を簡単に交換可能です。さらに、ボタンデバイスのデータを受けるクラウド側も作り込んだことで、ボタンのアクションを現地まで行かなくてもクラウド上から変更可能にしました。

工場の作業は1つのことを繰り返す反復が多いため、作業の追加は大変シビアな問題です。ボタンを押すだけという簡単な動作だけでラインの停止理由を記録・通知することができるようになったことで、ベテランから新人までしっかり使ってもらえています。

導入の効果 IoT で現場の改善・工夫が加速するために必要な3つのポイント

以前は停止時間しかわからなかったのですが、今は「どの理由」による停止なのか、ひと目でわかります。これらの情報を用い、現場の作業者と責任者が毎日のミーティングで、なぜ問題が起きたのか、問題が起きないようにするにはどうすればよいかを話し合います。最近は、データをエビデンスとして分析・改善・工夫する文化が醸成されつつあります。

現場でのIoT 活用を成功させるポイントは3つあると考えます。
1つ目は「現場に聞け、現場を聞くな」です。自ら現場に足を運んで、問題を観察し、問題を抽象化することで、最も現場に合う方法を発案することができます。
2つ目は、「100の進言より1のプロトタイプ」です。言葉で「こうしたらどうか?」と聞いても、「今の方法のほうが慣れている」現場は答えるはずです。先日も、日報をグラフィカルに見ることができる画面を開発し現場に見てもらいました。すると「もっとこういうデータが欲しい」という意見をもらえるようになりました。
3つ目は「運用が命」です。IoT は始めたら終わりではなく、継続的にデータを見ることで効果が上がります。データを見て改善・工夫すること、また改善・工夫を続けたくなるような仕組みも重要だと感じています。使われる IoTシステムは、継続的に改善リクエストもあがってくるので、現場とともに運用・開発のサイクルを回しています。

今後の展開について 現場に深く関わり、日本の製造業の改善を世界へ

ボタンを使ったソリューションは「i Smart Click」として同じ課題をお持ちの他の製造業様にもご利用いただけるよう提供を開始しました。IoT を試そうとすると、センサーやマイコン、通信ゲートウェイ、クラウド、可視化や分析のための画面やシステムなど様々な準備をする必要がありますが、私達は多くの会社で実証済のシステムををパッケージとして提供しており、IT 技術者が居なくても簡単に現場で使えるようになります。i Smart Technologies が得た知見をできるだけ簡単に使えるようにしてほかの製造業様の改善・工夫もお手伝いしていければと思います。

さらに、IoT を始めるともっとやりたいことが見つかります。画面の改善、データの組み合わせによる分析、システムインフラの整備など、フェーズに合わせて進化させていく必要があります。さらには、エッジ側でのデータ処理や、無線通信の最適な組み合わせなど、最新の技術もまだまだ取り入れられる余地があります。

また、海外工場への展開も試し始めている分野です。現場に深く関わりながら最新技術を活用することで、日本の製造業が持つ蓄積された知見をよりクリエイティブに再構築し、世界に発信していきたいと考えています。


i Smart Technologies株式会社
執行役員 CTO 今井 武晃 氏
https://istc.co.jp/

利用したサービス

SORACOM Air for セルラー KM-1
SORACOM LTE-M Button powered by AWS

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